淡き光の思い出

梅雨の声近し今、

薄暗くなった川辺にほのかな光が瞬く。

 

ほたるの飛び交う軌跡に光があとを付ける

 

蒸し暑さが呼び起こす光の乱舞

 

幼き頃見た同じ風景

 

兄弟達と虫かごと網を手に行った山間の川

 

今も鮮やかに甦る思い出

 

あの日、父は網をそーっと揺らし

 

ほたるを捕まえてくれた

 

虫かごの中で輝く光に手を叩いた

 

次の朝、虫かごの中で動かなくなったほたるを見て泣いた

 

喜んだり、泣いたり、ほろ苦い思い出

 

昔のような乱舞を見ることは少なくなった

 

この季節ちらちらと観る光に

 

あの日の父を思い出す